INTERVIEW インタビュー
自宅サウナが「わが家」を世界一幸せな場所にする
足立紀生 × ととのえ親方
「家に帰れば、積水ハウス。」というメッセージでお馴染みの大手住宅メーカーの積水ハウスが手掛けるモデルハウスに、ととのえ親方がプロデュースしたサウナが付いていると話題に……。
このプロジェクトの仕掛け人は、積水ハウスの常務執行役員でコミュニケーションデザイン部長 の足立紀生さん(実はととのえ親方と足立さんは、十年来の友人とのこと!)。
2020年に、『「わが家」を世界一幸せな場所にする』をグローバルビジョンに掲げた積水ハウスと、サウナ界のハッピーマン・ととのえ親方が考える自宅サウナとは?
噂のサウナ付きモデルルームがある “暮らしの体験型ミュージアム「Tomorrow’s Life Museum関東」”で、2人にお話を聞きました。
足立紀生
(積水ハウス株式会社 常務執行役員
コミュニケーションデザイン部長)
スターバックスコーヒージャパン(株)の広報部長を10年務めたのち2018年に積水ハウス株式会社に入社。ターゲット顧客分析を軸に同社中長期ブランディング活動を実践中。現在商品マーケティングやCRM、リアルな顧客体験を提供する施設運営や、広報・PR業務など、顧客とのタッチポイントを統括。
ととのえ親方(松尾大)
複数の会社を経営する傍ら、日本全国のサウナ施設のプロデュースを手掛ける実業家にしてプロサウナー。多くの人を“ととのう”状態に導いてきたことから“ととのえ親方”と呼ばれるように。秋山大輔(サウナ師匠)と共にプロサウナーの専門ブランド[TTNE]を立ち上げ、サウナ界における様々なジャンルで活動を展開している。
親方:
足立さん、こんにちは。
今日は茨城県古河市にあるTomorrow’s Life Museumにお邪魔しているんですが……
すごいですね、ここ! 真ん中にツリーハウスはあるし、モデルルームが全部で7棟もあって、しかも全部の家に名前が付いている。
今いるここは、「山際さんち。」って名前なんですね。
足立:足立:「Tomorrow’s Life Museum」は、家族の体験を通じて未来の暮らしを楽しみながら想像する施設なんです。コンセプトの違う7棟のライフスタイル型モデルハウスでそれぞれの暮らしを体験してもらって、家づくりのヒントを見つけてもらおう、と。
今いるこのモデルハウスは、八ヶ岳にセカンドハウスを建てた「山際さん」ファミリーの家という設定なんですけど。
染織家の奥様と美大生の娘さんがいる3人家族で、山際さんはクリエイティブディレクター。その山際さんが、「どんなセカンドハウスを建てたいかな」と考えはじめて……その時に、「この人はプランに絶対にサウナを入れるだろう」と。セカンドハウスは週末にリラックスしに行くところと考えると、サウナも絶対必要だって(笑)。
それで、大ちゃん(ととのえ親方)に声をかけさせてもらって、このサウナ付きの家「山際さんち。」が誕生したわけなんです。
親方:そうですよね。足立さんから直接ご連絡いただいて、プロデュースという形でサウナまわりをお手伝いさせていただいたんですけど、本当に素晴らしい家ができましたね。
足立:
当社は今ライフニットデザインというデザイン思想を提唱していて、6つの感性フィールドに大別して、お客様の感性を寄り添い、愛着を持って長く大事に家に住んでいただくことを目指しています。この家は、山際さんの感性を創造して、「どんな素材で、どういうテイストで、何を好むのか」と、徹底的にこだわって作っていく中で、家のテイストとサウナに一体感が生まれていって。家との親和性だったりとか一体感だったりがすごくいいものになったのは感動的でした。親方に頼んでよかったな、と(笑)。
見てもらって違和感ないと思うんだけど、なんかね、その家での生活がイメージできるようなものにな っていて……。週末に、家族で、夫婦で、そして友人を招いて、日常の中でサウナを楽しんでいる感じを見てもらえたんじゃないかな。
親方:見えました!
積水ハウスさんが『「わが家」を世界一幸せな場所にする』って、グローバルビジョンを掲げていますが、もう完全にそうなってるじゃないですか。
どのモデルルームもそうですけど、特にこのサウナ付きの「山際さんち。」は。
まだ日本で自宅にサウナが入ってるっていう例は少ないと思うんですけど、山際さんちは、しっかりサウナが入っていて。
本当に、僕からすると今まで見た家の中でもトップクラスに幸せを感じます。
足立:グローバルビジョンにある「わが家」という言葉に何が込められてるかと言うと、もちろん、ハードとしての家という話もあるんだけれど、やっぱり日常が大事だと思うんですよね。
家を出て行って家に帰ってくるっていう日常があって、その日常が、どれだけ楽しくて、豊かなもので、満足感や幸せを感じられるものになるか。
自分がやりたいことだったり、過ごしたい空間であったり、 そういうものを想像して、それを家づくりで実現する……それができると、『「わが家」を世界一幸せな場所にする』というものに、すごく近づいていくんじゃないかなと思っています。
親方:僕も今、自宅にサウナをつくっているんです。
例えば、足立さんを家にお招きする時とかに、「ちょっとサウナ入って。ビール飲みませんか」って誘われたら、最高じゃないですか?
サウナの中って、生まれたままの姿で格好もつけれないから、コミュニケーションがめちゃくちゃ円滑になる気がするんですよ。人間として一番無防備になる場所なので。
家族とも、普通だとなかなか話をしなくなるんだけど、サウナに息子と一緒に入ると、「最近どうなんだ?」とか聞けたりするっていうか。食卓とはまたちょっと違うところがあって、僕は好きなんです。
足立:自宅に招かれて、「サウナ入って、ビール飲もう!」って、かなり魅力的だよね。
そのオファーは、絶対に行きたくなっちゃう。
サウナは入ると本当に何も道具がないから、会話するしかない。何も気を逸らすものも邪魔するものもない空間。自分たち以外のものが何もないっていう状態って、すごくいいなって思うよね。
1人でサウナに入るのっていうのは、実はそんなに好きじゃなくて。体はととのうんだけど、 やっぱり、誰かと一緒に入ってその時間を楽しむっていうのが、すごく好きで。
今回の「山際さんち。」のサウナも、4人ぐらい入れる感じになっていて。あのぐらいの空間があると、相当いいよね。
もう本当に、自宅のサウナ入って、ビール飲もうよっていう、そんな誘いができる未来になったら幸せだね。
親方:うん、間違いないです。めちゃくちゃ楽しいし、幸せ。
「絆が深まるサウナのある家」ですね。
足立:積水ハウスには、仕切りがない大空間を提案する「ファミリースイート」っていう商品があるんだけど。
一般的には、3LDK、4LDKのように、リビング、ダイニング、キッチンと、部屋を分断して、「ここは何をする場所、ここは何をする場所」という風に決めるじゃないですか?
それを、仕切りのない大きなひとつの空間で、それぞれ思い思いに好きなことをしながら、それでいてお互いの気配を感じられる……そんな生活、暮らしを推奨しているんです。
例えば、テレビをみんなで見るっていう、 昭和的な家族のライフスタイルって、多分もう成り立たない。みんな、ゴロゴロしてなんとなくスマホで見ていたり、下手するとご飯食べるタイミングもバラバラだったり。
でも、同じ空間で気配を感じられていると、お互いそんなに干渉しないんだけれども、ちょっと目が合ったら話をしたりするようになる。お互いの存在をなんとなく認識しているっていうかね、それだけでもすごく落ち着くっていうか、豊かになります。
その「わが家のあり方」をいろんな角度から研究してるんだけれど、サウナは、その意味で言うと、本当にコミュニケーションの場として重要なものになります。何もない場所で、しかも移動しないわけだよね。一定時間、同じ場所にいる。そうするとね、やっぱりみんな会話が弾むよね。
親方:
確かに。サウナは最高のコミュニケーションの場になりますよね。
スマホも高級時計も肩書きもすべて持ち込まず、体も心もすっぽんぽんになって。
フィンランドなんかでは、世界中の外交領事館すべてにサウナがあるくらい、コミュニケーションの場として重要視されています。「サウナ外交」という言葉があるくらいですからね。
フィンランドでは、もちろん家族でもサウナに入りますしね。お母さんとお父さんと子どもたち2人とかでサウナ入ってたりするんですよ。それが日常の風景。
足立:ひと昔前は、「家にサウナ付けたい」って言っても、お父さんのわがままみたいな感じになって。「お父さんがサウナを入れたいってわがままを言うから、1人用の小さいサウナを、とりあえず付けましょう」みたいな。
でも、そういうのだと、うまくワークしないかもしれないね。やっぱり、コミュニケーションの場と考えると、やっぱり2人、3人は入れるぐらいの感じがいいと思います。
親方:思ったほど値段も高くもないですからね。
足立:家の中に家族で入れるサイズのサウナがあれば、すごくいい時間が過ごせるようになりますよね。
日頃なかなか話せないことがあっても、お互いとちゃんと向き合うみたいなことができたり、話すきっかけにもなる。「ちょっと話そうよ」とか、「ちょっとここ来て、座って」とか言うと、なんか説教なのかなみたいなことで、子どもは逃げちゃうと思うんだけど、「ちょっとサウナ入ろうよ」だったら、全然いいよね。
親方:
いいサウナって、この山際さんちもそうなんですけど、ロウリュができるウェット&マイルドなサウナなんですよね。湿度がなくてカラカラで息苦しくて……みたいなものじゃなく、言わば全身美顔器のような。
だから、女性も「サウナ付けてほしい」っていう人たちがすごく増えています。
今後、「家を建てるんだったら、やっぱりサウナを付けたいな」っていう人、結構増えると思うんですよね。
足立:積水ハウスは注文住宅が98%なんですよ。お客様と契約をして、1軒1軒、「どういう家が希望ですか?」って話しながら、ゼロベースでスタートするんです。 そういうコミュニケーションの中で、きっとサウナのニーズってすごくあると思っています。
「サウナのあるライフスタイル」みたいなものが、想像できるようになると、さっきの「お父さんのわがまま」ではなくて、「家族でも楽しめる」「友達も呼べる」みたいな話になってくるはずです。
親方:
家にサウナがあると、生活がガラッと変わりますよね。
本当に、全然違うからなぁ。
足立:
日本人も、このサウナの良さに結構気づき始めてると思うんですよね。
家にサウナがある っていう生活は、今まだそんなにみんな想像できてないんだと思うんですけど。
『「わが家」を世界一幸せな場所にする』ということで、「家で何がしたいか」とか「どういう生活を送りたいか」っていう、日常を想像してくと、「サウナ入れたらいいな」とか、もっと言うと「家族でサウナ入って、こういう時間を過ごせたらいいな」みたいな」、そういう選択肢があるっていうことに気づくんじゃないかと思います。
日常生活の中で実現したい欲求の中で、サウナというのは、ちゃんと立ってくるひとつのコンテンツになるんじゃないかなと思うんです。
どんな生活を送りたいかっていうことを、じっくりと家族で考えていただいて、その要望を積水ハウスに伝えてもらえれば、今まで想像していなかったものが実現できたりして、それが本当に幸せな日常に繋がってくんじゃないかなっていう風に考えています。
足立:
山際さんちに付いているサウナ、本当にすごくいいですよね!
親方:
フィンランドにある家のサウナの形というか。あのスペースの中にきっちりとバスルームとシャワーがあって、その奥にサウナがあって、無駄がなく、すごく効率のいいサウナですよね。
サウナ室の木はウエスタンレッドシダーを採用させてもらったんですが、ストーブに火を入れて暖かくなると、木の香りがめちゃくちゃいいんですよ。木樽の匂いがするワインというか、ああいう感じの甘くていい香りがするんです。
今までいろんなサウナに入ってきましたが、一番と言っていいぐらい大好きな木なんです。ぜひ皆さんにも、あの香りを体感してもらいたいですね。
足立:
モデルハウスは、日常使いするわけではないので、普通は電気は通すんだけど、ガスや水道は入れないんですね。
でも今回のモデルハウスは、全部入れてるんですよ、実は。だから、イベントなどで実際にサウナを体感してもらうなんてこともやっているんです。
親方:
じゃあ、ロウリュをして、実際に香りを嗅いでいただけると!
しかもガーデンスペースも水風呂の目の前にありますからね。そのまますぐに外気浴までできる。サウナ、水風呂、外気浴が、あのスペースでスムーズにできるっていうのは、本当に素晴らしいです。
僕ね、今までいろんな自宅のサウナを見てきてるじゃないですか。でも本当にトップクラスに効率が良くて。
積水さんの設計チームが考え抜いてくれて、素晴らしいサウナになってます。
足立:
うちのお客様に、どんどん体感してほしいです。
「いいね! お家でこういう感じになるんだ!」みたいなのを実感してもらって。
もうね、ガーデンスペースのチェアの横にもビールを置いておいて(笑)。
なんかそうやって、この素晴らしさを実際に体験するのが、何よりもすごくいいと思いますね。
親方:
ですね! もう我慢できなくなってきました。
足立さん、今から一緒にサウナ入りましょうよ。僕がロウリュしますんで、ウエスタンレッドシダーの香りを全身で体感してみてください。
足立:
いいですね〜。
では対談はここで終わりにして……サウナに入っちゃいましょ!
親方:
そうしましょう!
今日は、本当にありがとうございました(笑)。