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サウナで「ととのう」のは危ない?:安全に楽しむポイントを紹介
#サウナの入り方 #メリット・デメリットサウナで「ととのう」時に危ないポイントを解説し、安全に「ととのう」ための具体的な対策を詳述。自宅サウナでのポイントも含め、安全な楽しみ方を徹底支援します。
目次
1.サウナで「ととのう」とは?
そもそも「ととのう」とはどんな状態をいうのか?色々な説がありますが、ここではフィンランドでのサウナのあり方から概論で解説します。
1-1.「ととのう」の定義と心身への健康効果
サウナでの「ととのう」感覚の説明は十人十色。色々な表現があります。フィンランドではどうかというと「ととのう」という概念は有りません。日本生まれの概念で、フィンランドには日本から逆輸入されました。
サウナに入ると体温が上昇して血行が促進され、エンドルフィンが分泌されます。これにより、幸福感やリラクゼーションが得られるとされています。「ととのう」とは概して、身体が熱によってリラックスし、心身のバランスが取れる状態といえそうです。
この結果ストレスが軽減され、心身の健康に良い影響を及ぼすと考えられています。また、サウナは瞑想や深いリラクゼーションを促すため、メンタル面でも効果的です。サウナ室内での静寂や、温かい空気に包まれる感覚は、現代社会の喧騒から一時的に逃れ、自分自身と向き合う貴重な時間を提供します。
さらに、サウナには睡眠の質を向上させる効果も期待できます。定期的なサウナ利用は、心身の健康維持に役立ち、長期的な健康促進にも貢献します。
1-2.ととのう&温冷交代浴
「ととのう」というフレーズと共にサウナブームの中心にあるのは、サウナ→水風呂→外気浴という入浴サイクルです。サウナ後、水風呂に入ったりすることで、温冷交代浴をすることになります。これによって自律神経が強制的にリセットされ、心身に様々なメリットをもたらします。
ただしこの温冷交代浴は、極端な温度差で行うのがほとんどです。これは心臓に負担をかける行為です。適度な刺激である限りはメリットが大きいですが、身体のコンディションによってはリスクの方が高くなります。温度差による快感を追求するあまり、我慢や限界への挑戦に走ってしまうのは危ない行為です。具体的にどんな危険性があるのかは後述していきます。
2.サウナで「ととのう」のは危ないのか:潜在的な危険性
サウナで「ととのう」こと=危ない、とは違いますが、潜在的な危険性が存在します。ここでは 公益社団法人 日本サウナ・スパ協会監修「サウナの安全管理ガイドブック」の内容も踏まえながら、サウナで「ととのう」のが危ないといわれる、潜在的な危険性を解説します。
2-1.血圧の変化とヒートショック
まずはサウナとヒートショックの関係から。ヒートショックとは、気温等の変化によって血圧が上下し、脳内出血や大動脈解離、心筋梗塞、脳梗塞などの疾患が起こることを言います。
サウナで「ととのう」中で血圧に急激な変化が生じるタイミングは二回。1回目は、サウナ室内に入る時。2回目は水風呂に入ったり冷水を浴びたりするときです。
まず、急激な温度変化により、サウナに入った直後、交感神経が緊張し血管を閉じるために血圧が高くなります。その後、身体が熱にさらされると、熱で血管の柔軟性が増します。結果として、血管が拡張し、血圧は徐々に下がります。そしてサウナ室を出て水風呂に入るとき、再び急激な温度変化で血圧が上がります。この2回が、ヒートショックの文脈において、サウナで「ととのう」ことと「危ない」が近づくタイミングです。
ヒートショックは取り返しのつかない結果につながります。サウナに入る際はヒートショックを引き起こさないよう十分な注意が必要です。リスクが高い人や、リスクを下げる対策については後述します。
2-2.脱水症状と熱中症
次にサウナで「ととのう」ことと「危ない」が繋がりやすい要素は脱水症状と熱中症です。
サウナ室内は高いところで100℃以上になります。健康状態が良好で、水分補給をしっかりしていれば、発汗によって体温が調整されるので問題ありません。しかし、サウナに入る前の水分補給が十分でないと、汗をかくことができません。急激に体温が上がってしまい、気づかない間に熱中症になっていまいます。
身体のほてった感じ、めまい、頭痛、吐き気、だるさなどを感じた場合はサウナ浴を中止し、水分を取って涼しいところで安静にしましょう。
一回のサウナ浴による発汗は約500ミリリットルと言われています。汗で失う水分をしっかり補給しなければ脱水症状の危険があります。一回のサウナ浴の間に水約1~1.5リットルの摂取が必要と言われています。
2-3.低血糖
サウナで「ととのう」ことが「危ない」につながる要素として、低血糖も上げられます。サウナ浴は、エネルギーを消費する活動です。空腹時など、血糖値の低い状態でサウナにはいると、消費するエネルギーが上回って低血糖になる可能性があります。糖尿病で服薬をしている場合は特にリスクが高いです。
だるさや脱力、冷や汗、手足の震えなどの症状が出た場合は、スポーツドリンクや糖分の入った甘いものを飲んだり食べたりしましょう。
2-4.やけどや転倒
やけどや転倒のリスクも、サウナの潜在的な危険性のひとつです。着ていたとしても水着のみ、という無防備な状態なので、思わぬ怪我につながることもあります。濡れた床や段差で転倒しないよう注意しましょう。
また、サウナヒーターは運転中、部分的にかなりの高温になります。ヒーター本体には触らないように注意してください。また、乱暴すぎるロウリュも、高温になった水が跳ね返ってくるなどしてやけどする危険があります。ロウリュの際も注意してください。
飲酒時や過労時など、適切な注意力を維持できない体調の時も、サウナ浴を控えましょう。
3.サウナで「ととのう」のが危ない健康状態
心身に様々なメリットをもたらすサウナ。ですが、健康状態に問題がある場合はリスクの方が高くなる可能性があります。ここではサウナで「ととのう」と危ない可能性が高い人や、注意するべき健康状態について解説します。
3-1.サウナのメリットよりもリスクが高い人
特に下記に当てはまる方はサウナ(特に高温サウナや極端に低温な水風呂)の利用を避けるか、サウナ浴の是非について主治医の判断を仰いでください。
- 高血圧の方
- 心血管疾患の患者
- 高齢の方
- 妊娠中の方
- その他、炎症、肺炎、皮膚感染症、発熱など健康状態に問題がある方
3-2.注意するべき健康状態
サウナ浴は体温を急激に変化させる活動です。また、温冷交代浴は特に体温の上下が激しいため、注意が必要です。次に当てはまる状態のときはサウナ浴を控えるようにしましょう。
- 飲酒後、二日酔い
- 過労、睡眠不足の時
- 空腹時、満腹時
4.安全にサウナでととのうための基本ポイント
サウナには潜在的な危険性があると前述しました。ここでは、サウナでととのう=危ないとならない為の、具体的なリスク回避策を解説します。
4-1.サウナ前のシャワー
シャワーなどを使ってサウナに入る前に身体を洗いましょう。体温を上げておくことで、ヒートショックを回避することにもつながります。
💡防げる危険:ヒートショック
4-2.サウナの温度と室内のポジション
室内では、ポジションによって温度が違います。体調などによって座る位置を調整して、熱中症などのリスクを回避しましょう。
温度が一番高い場所:ヒーターに近い上段のベンチ
温度が一番低い場所:ヒーターから遠い下段のベンチ
💡防げる危険:熱中症
4-3.水風呂前のシャワーやかけ湯
水風呂前にもシャワーやかけ湯を行いましょう。サウナ後に水風呂に入る行為は、身体に大きな負担をかけます。健康な人にもリスクが伴います。シャワーで汗を流した後、足からゆっくりと浸かるようにしましょう。また、無理をせず、シャワーや外気浴のみで済ませるなど柔軟に「ととのう」ことも重要です。
💡防げる危険:ヒートショック
4-4.十分な休息
十分な休息も、サウナで「ととのう」ことによる危ない要素を解消するために重要な要素です。血圧や体温を落ち着ける必要があるため、脈拍がある程度落ち着くまでしっかり休憩しましょう。
💡防げる危険:ヒートショック、熱中症
4-5.水分補給
サウナ前、サウナ中、サウナ後に、十分な水分補給をしましょう。まずサウナ前にグラス2杯分(約500ミリリットル)。その後クールダウンの度に、グラス1~2杯分の水分を補給。そしてサウナ浴後もグラス1~2杯分の水を飲む。このイメージで水分補給をするといいでしょう。 このときスポーツドリンクを飲むことで、低血糖も予防できます。血糖値が低い方などは水ではなくスポーツドリンクの摂取をお勧めします。
💡防げる危険:熱中症、脱水症状、低血糖
5.自宅サウナでも安全に楽しむために
サウナで「ととのう」際、気を付けないと危ないポイントを解説してきました。ここでは「自宅にサウナをつけた」「家庭用サウナの導入を検討している」という方向けに、自宅サウナで気を付けるべきポイントをご紹介します。
5-1.ひとりで入るときはいつも以上に気を付ける
自宅サウナを一人で利用する際は、特に体調管理を徹底してください。周囲に誰もいない場合、体調が急変してもすぐに助けを求められないためです。
事前に家族や友人に知らせておくのも良いでしょう。また、サウナに入る前に携帯電話を近くに置いておくことで、緊急時に迅速に連絡を取ることができます。安全を確保するために、常に自分の体調に注意を払いましょう。
さらに、一人での利用時はこまめに休憩を取ることも忘れずに。自宅サウナの安全対策は、公共サウナ以上に重要です。
5-2.お酒を飲んだら入らない
サウナ利用時の飲酒は、脱水症状を悪化させるだけでなく、心臓に余計な負担をかける可能性があります。また、アルコールは体内の水分を奪い、体温調節を難しくします。したがって、サウナの効果を最大限に享受するためには、飲酒を控え、水分補給を最優先に考えることが必要です。
特に自宅では飲酒の機会が増えるため、利用前や利用中の飲酒は避けるよう心掛けましょう。
5-3.お子さんのやけどや怪我にも対策を
自宅サウナでは、子供が誤って熱源に触れてやけどを負う危険性があるため、十分な注意が必要です。子供をサウナに入れる際は、常に目を離さないようにすることが大切です。また、サウナの温度を適切に管理し、子供にとって安全な環境を提供しましょう。子供がサウナに慣れるまでは、特に慎重に見守ることが求められます。子供の安全は、家庭内での最優先事項です。
6.サウナで「ととのう」と「危ない」をイコールで結ばないために
サウナには、心臓病リスクの低減や睡眠の質向上、脳卒中やアルツハイマー病リスクの低減など様々な健康効果があります。しかし、身体に負担をかける行為でもあります。正しくリスクを把握し、安全に利用しましょう。また、普段から、体調を優先する意識でサウナを利用することも重要です。
6-1.自分のペースで無理なく楽しむ
極端な高温サウナやシングルの水風呂は、身体に大きな負担を掛けます。「こうしなければならない」「これが正しい入り方」と拘らず、自分のペースで楽しむようにしましょう。10分以上入らなければならないというルールもなければ、必ず水風呂に入らなければならないわけでもありません。サウナの本質は楽しむこと。その日の気分や体調に合わせて、一番気持ちよくととのえるようにするのが一番です。
6-2.常に体調に注意を払い、サウナの入り方を柔軟に変える
サウナ浴中も常に体調に注意を払いましょう。
- 少しでも体調に違和感を感じたら中断し、水分を取って休む
- いつものポジションに拘らず、苦しいと感じたら位置を変える
- 時間に拘らず、体調に合わせてサウナ浴の時間を調整する
- 体調の急変を感じたら、同行の人や近くの人に助けを求める
6-3.応急手当の知識もつけておくと安心
同行の人や周りの人が体調に異変をきたしたときのために、応急手当の知識もつけておくと安心です。施設の場合は、スタッフの所在やAEDの場所を事前に確認しておくといいでしょう。
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