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INTERVIEW インタビュー

2024.01.18

Spirit of Löyly
サウナの魂・ロウリュとは?

ととのえ親方 × サウナ師匠

「SAUNACHELIN(サウナシュラン)」創設、「サウナ学会」設立、そして全国各地でサウナ施設のプロデュースを手がけ、日本サウナカルチャーをリブランディングし続けてきた、サウナ界のドルチェ&ガッバーナ(!?) ととのえ親方&サウナ師匠。 2023年には、世界No1サウナブランド『Harvia』のグローバルアンバサダーに就任し、世界中を飛び回り、ありとあらゆるサウナ に入りまくっている2人に聞いた 「Spirit of Löyly 〜サウナの魂・ロウリュ」とは?

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ととのえ親方(松尾大)

複数の会社を経営する傍ら、日本全国のサウナ施設のプロデュースを手掛ける実業家にしてプロサウナー。多くの人を“ととのう”状態に導いてきたことから“ととのえ親方”と呼ばれるように。秋山大輔(サウナ師匠)と共にプロサウナーの専門ブランド[TTNE]を立ち上げ、サウナ界における様々なジャンルで活動を展開している。

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サウナ師匠(秋山大輔)

「東京ガールズコレクション」をはじめ、様々なイベントのプロデュースを手掛け、日本最大級のサウナフェス「SAUNA FES JAPAN」のプロデューサーも務めるプロサウナー。サウナー専門ブランド[TTNE]を立ち上げ、プロデュースやメディア活動を通じ、サウナの為に汗をかいている。

⸺スピリット・オブ・ロウリュ(Spirit of Löyly)とは、どんなイメージでしょうか?

親方:フィンランドの人は、サウナに入ることもそうだけど、ロウリュ(※)を楽しみに行っているっていうのがあるよね。サウナ=「ロウリュをして、蒸気がふわっとおりてくるのを楽しんでいる」という感じ。
日本人って、お風呂で湯船に張ったお湯に入って、すっごい気持ちいいっていう感じがあるじゃない? それがフィンランドだと、ロウリュでジャーってやった時に、ふわーって蒸気がおりてくる感覚なんじゃないかなと思う。
「ロウリュは、サウナの魂だ」みたいなことなんでしょ。
ロウリュがないってことは、お風呂に行って、湯船にお湯が入っていないみたいな感じなのかもしれないな。

※ロウリュ(löyly)
ストーブの上で温められたサウナストーンに水をかけて、蒸気を発生させること。

師匠:もしくは、浴槽に体は入っているんだけど、お湯が張ってないみたいな感じ。
「あれ? 清掃中だ」みたいな(笑)。

親方:うん、フィンランド人たちからすると、ロウリュできないサウナって、 そういうことかもしれないな。そのぐらい大事なことなんだよね。
「お風呂に入るってそういうことでしょ」っていうような。

⸺例えば、フィンランド人が日本に来て、ロウリュできない高温のサウナに入ったら、なんて言うんでしょうね。

師匠:やっぱりすげえ嫌がっているよ。
「めちゃくちゃ暑い!」ってまず言うし。
ずっとロウリュ用のラドルセットを探している人、いるんじゃないかな(笑)。

親方:フィンランド人たちを、千葉にある「スパメッツァおおたか」に連れて行って、5基のサウナストーブが並ぶドラゴンサウナに入れたら、暑すぎて、すぐみんな出ちゃったの。
もう「とにかく暑すぎる!」って言うね。
お風呂もそうだよね。俺たち日本人は42度のお風呂に入れるわけ。44度ぐらいでもめっちゃ高温なんだけど、「あっち!」って言いながら入る文化が日本人にはある。
でも、他の国を見ると、めっちゃ高温のお風呂ってなかなかないよね。

師匠:うん、40度切っているよね。ジャグジー自体がぬるいもんね。

親方:昔さ、日本のサウナを、本格的にフィンランドにあるようなサウナに近づけたらどうなんだろうって考えていたんだよね。
例えば、フィンランドのヘルシンキに「LÖYLY(ロウリュ)」っていう名前のスタイリッシュな公衆サウナがあるんだけどさ。あんなサウナを日本に持ってきて、スーパー銭湯のようにつくったら……もう多分、大クレームの嵐になる。ぬるすぎて、もう日本人にとっては地獄で(笑)。

これは、ヨーロッパ人たちは、まず43度のお風呂なんて入れないっていうのが大前提で。そもそも俺らと温度感覚が違うんだよね。
だから、俺たちも日本でサウナをプロデュースする上では、やっぱり85度とか90度とか、ちゃんと高温を狙っていく。
回転率も考えなきゃいけないからね。スーパー銭湯とかって、やっぱり限られたサウナのスペースで、多くの人を楽しませないといけないから。ゆっくり15分とか入っていると回転率が悪くなる。
でも、フィンランド人なんかは、「10分以上入れないと、サウナとしてはちょっと良くない」っていう感覚を持っている。

まず、日本人と西洋人の温度感覚の違いがあって。
その上で、「カラカラで高温のサウナで我慢をする」という独自のサウナ文化が日本では広まっているから、日本人は高温サウナを求めているんだよね。

親方:本質からちょいとズレてるというか。
みんな「ロウリュを楽しむ」っていうところが抜けちゃっているのかもね、日本って。

師匠:まあ、慣れてないよね。セルフロウリュができるとしても、いつどのくらい水をかければ正解なのかわかんないっていう状態なのかも。
俺とか親方って、「ちょっと乾いてきてんなー」とか感じるんだよね。だから旅先でサウナ入っていると、水をかけようと思う瞬間が、フィンランド人たちと一緒だったりするんだよね(笑)。

あと、やっぱり、空気の対流も大事。
良いサウナって、目つぶっていると、波のように熱が動いてるのがわかるんだよね。波が打ち寄せてはどっかに消えていくみたいな、そういう感じがある。
日本のドライなサウナって、止まっているんだよね。
ロウリュもないし、空気の対流もない。熱が逃げないように真空パックみたいに閉めて、ちょっと一時停止みたいなサウナになっている。フィンランドのサウナとかだと、自然の熱の動きを感じるんだよね。

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親方:そういえばさ、この前、北海道のHARVIAショールームのオープン記念記者発表会でロウリュセレモニーやったじゃん?
ショールームの中で、テープカットの代わりに、サウナストーブにロウリュしたら、白い蒸気がめっちゃぶわーって上がって。
あのときの画像がさ、ニュースとかで結構出ていて、いろんな温浴関係の人から、「これ、なんなんですか?」って聞かれるわけ。実際にスーパー銭湯を経営している人も、「なんであんなに蒸気が上がるんですか?」って。

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確かに、普通のサウナ室だと、あんなに蒸気が上がっているのは見えない。室内の温度が高いから揮発して、見えないんだよね。
温度が低いとこでやると、もうあのぐらいもうわーっと上がるのが見えるわけ。

フィンランドのサウナってさ、70度75度とかの設定だから、サウナ室自体がそんなに暑くないから、ロウリュすれば、すっごい蒸気がきているのを感じられる。
日本のサウナって、90度とかあるから、ロウリュしてふわっと上がっても、最後消えちゃうよね。ベースが暑いから、揮発してなくなっちゃう。
温度差であんだけ蒸気って見えるんだなって。

師匠:それの最たるものがさ、氷のブロックを積み上げて造られた「アイスサウナ」だった。
氷の壁で囲まれたサウナ室でロウリュしたら、前が全く見えないくらい蒸気が上がったよね。

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だから、「ロウリュを可視化する」っていう意味では、結構面白い実験だよね。
ベースの温度が高いと、やっぱりロウリュを感じにくくなる。目に見えないから。

親方:最近撮影で、あまりサウナに入り慣れていない芸人さんと一緒にサウナに入ったんだけど。ジャーってロウリュしたらさ、すぐに「気持ちいい〜!」って言っていて。
「いや、まだ蒸気降りてきてないから!」って。
「ジャーって音が気持ちいいですね」とか言って。そこじゃないって(笑)。

師匠:どこが気持ちいいポイントなのかが、あんまりわかっていない人もいるよね。
サーフィンでテイクオフできてないけど、気持ちいい〜って言っているみたいな感じで、なんかちょっとタイミングがずれていたり。
慣れてないとわかんないとこあるよな、多分。

目に見えない分、やっぱり難しいんだろうな。
だから、あれ、映像とかデータみたいので可視化できたら結構面白いよね。
水をかけたら、こうやって蒸気が上がっていって、天井に当たって、壁に当たって、こういう流れで人に降りていって……って。
良いサウナって「均等に体を温められる」みたいなのもあるじゃない?
その均等に体が温められているところに対して、またロウリュの蒸気がベールのように包んでいく、みたいなさ。そのバランスがすごく大事だよね、やっぱり。

親方:それがサウナの楽しさでもあるじゃない? それを感じるのがさ。
「あ、こうやって包まれる感じのことを言ってんのか」みたいに、なんか伝わってくれるといいな。

師匠:ロウリュによる蒸気や熱の動きを可視化するのが、すごく大事なような気がするな。
例えば、スパメッツァのドラゴンサウナでさ、5台のサウナストーブに一気に水がかかるオートロウリュあるじゃん? あの蒸気が龍みたいになってさ、人に襲いかかるように包み込んでいく、みたいなやつを、鳥山明さんに描いてほしい。
神龍みたいにぶわって上がって、それが人に絡みついていく、みたいな。

親方:CGみたいな感じでね! いいねいいね、それ作れって言おう(笑)。
ロウリュの動きがわかんないと、どこで何が気持ちいいのかもわかんないかもね。目に見えないからね。

⸺日本でもロウリュできるサウナがすごく増えましたが、「ロウリュをして蒸気がおりてくる感覚を楽しむ」とはちょっと違っている気がしています。90度、100度を超えるようなアツアツのサウナに入って、さらにロウリュを足すことによって、もっと我慢する空間を作っているというか……。

親方:「暑い! 耳いて〜」とか言いながらな。
コロナがあったことで、黙浴で黙って入るようになって。ゆっくりサウナに入ることよりも、短い時間で一気に汗かいて、水風呂に行きたい。とにかく熱くして、ロウリュして、体感温度上げまくって、我慢して一気に行く、みたいな。
話を楽しみながらゆっくり入って、ロウリュをして、蒸気に包まれて、「あ〜気持ちいいな」みたいな世界観は少ないかもな。

師匠:赤坂にできた「サウナ東京」あるでしょ? 俺が行ったとき、ガチガチのスーパードライサウナ「昭和遠赤」には、1人も入ってなかったんだよね。他のロウリュできるサウナ室には結構入っていたんだけど。
あのカラカラアツアツのやつが好きなんだっていう人もいるから、それも1つのキャラクターとしてありなんだけど、他のサウナ室に比べると、入る人が少ない印象だった。

⸺日本のサウナーたちも、カラカラよりは湿度があるサウナの方を好むようになっていますよね。でもフィンランドのような「ウェット&マイルド」だと、物足りない。「ウェット&ハード」みたいなのを求めているじゃないですかね?

師匠:なんだか、蒙古タンメン中本の「辛さ9の北極ラーメン」みたいな話になってる(笑)。

親方:今の日本で好まれるのは、そっちだよな。
サウナをプロデュースするとき、思っているよりプラス3度〜5度上にしないと、やっぱり「弱い」とか言われるから。
そういうネガティブな意見は、やっぱオーナーとして怖いって言うしね。

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師匠:記憶に残る体験価値ってそういうところがあるよね。
やっぱりピンチじゃないと残んないじゃん。刺激のほうが記憶に刻まれる。
事故みたいなことって覚えているけどさ、気持ちいいことって忘れがちっていうか。

でもさ、今後ロウリュできるサウナが家に入っていったときに、変わるんじゃないかな。
自宅のサウナは、温度低めにしたいと思うんだよね。
毎日家で蒙古タンメン中本を食うのかっていう話になるから(笑)。
だから、家サウナが本当に浸透した時に、本来のフィンランド式のサウナのところに、勝手にたどり着いていくような気がする。

温浴施設のロウリュって、刺激がないとコンテンツにならないじゃん、やっぱり。毎日その施設行くのかというとそうでもないけど、特別な体験をするために行きたくなる。
それが、実際に自分のライフスタイルに入ってきたときには、高温でハードな設定にするかというと、そうはならないと思う。
水風呂も似ているよね、やっぱりグルシン(※)の水風呂って刺激じゃない? 家にグルシンの水風呂を設置して、高温ハードサウナって、相当狂ってるっていうか。
刺激を求めて、水風呂代わりに流氷に飛び込んだりもしたけど、結局また16.5度の水風呂に戻ってくるっていう経験をしてるじゃん、俺たちも(笑)。
生活に根付くって、「サスティナブル」なことだよね。本当に継続可能な温度や湿度っていうところに落ち着いてくるはず。
その時、本来のフィンランド式っていうのが浸透するような気がするよね。

※グルシン
シングルを逆にして「グルシン」。水温10度未満、1桁台の水風呂のこと。
15〜18度あたりが一般的なので、グルシンはかなり冷たい。

⸺日本のサウナでもロウリュはできているけど、「フィンランド式」ではないんでしょうね。日本式ロウリュサウナみたいなことになっているのかもしれないですね。

師匠:そうだね、ハイブリッドだよね。

親方:ドイツとかもさ、冷えていない温めのビールを飲んだりするじゃん。
「ぬるっ! こんなの飲めねえよ」みたいな感じなんだけど。俺たちからすると。
でもドイツ人からしてみると「冷たすぎると、ホップの味や香りがわかんねえだろうよ」みたいな。お国柄によって違うっていうか。もちろん、それが楽しいところなんだけど。
サウナも同じ。そういう差があるよね。
どれもそれぞれ楽しむコンテンツで、そういう違いってあるんだっていうところがわかってくれると、めっちゃ面白いと思う。

師匠:俺、今までエンタメの仕事もたくさんやってきて思うんだけど。日本人は、受け入れる、他をあんまり否定しない寛容さを持っているよね。
ドイツはこうなんだとか、ロシアはこうなんだとかって、自分たちと違うところを否定するのではなく、すぐ取り入れようとするし、すぐ混ぜようとする。島国特有の感じなのかもしれないけど。
それが俺、日本のサウナカルチャーが面白いとこに行く要素だなと思っていて。
いろんな世界のサウナの楽しみ方を、楽しみながら受け入れられる国だなって思うから。アウフグースも流行るし、ウィスキングも流行るし、ミストサウナとかスチームも流行るし、みたいな。それを、最近すごく感じるよね。

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日本におけるスピリット・オブ・ロウリュ(Spirit of Löyly)というのは、「自宅でサウナを楽しむ」っていう風になれば、きっと理解が深まっていくと思う。
スピリット・オブ・ロウリュを意識しながら、じっくりゆっくり入る。家庭用の場合はそれができちゃう。その気持ちよさを理解できる。ロウリュをして蒸気がふわっと降りてくる感覚を。
ウェルビーの米田(行孝)さんもさ、「サウナは、小さければ小さいほどいい」って昔から言っていたよね。サウナ室が広くなければ、その体感が直結するもんね。

親方:やっぱり、人数がいっぱい入る大型サウナと、家庭用の小さなサウナっていうのは、もう根本から違うなっていうのは感じるよね。
俺も昔は、「日本のサウナ、全部ぶっ壊してやる」とか言っていたけど。今そんなこと言っていたら、施設プロデュースしても失敗するだろうし、めちゃくちゃ嫌われるだろうし(笑)。
「本場のフィンランドのサウナが本物だ」みたいにやっぱり最初はなっちゃうじゃない? サウナ好きになると、一旦「フィンランドかぶれ」みたいになっちゃうから。
でも、今はもうそんなことも思ってないというか。日本のスタイルも、それはそれでいいじゃんって思う。
これだけロウリュという文化が広がってくれたからね。昔は、本当に片手で数えるぐらいしかなかったから、ロウリュできるサウナ室なんかさ。
だから、日本のサウナ文化を馬鹿にするわけじゃなく。
こっちが本物、こっちが偽物っていうわけじゃなく。

師匠:そうだね。エストニアでも、「ジャパニーズバス」とかいって、高温のお風呂が流行りだしているよね。
もちろん人種によって、冬でもTシャツみたいな感覚の違いはある。でも、同じ人間だから。人によっては、やっぱり気持ちよさはわかるよね。熱湯に入っている外国人もいるから。
文化としてないだけで。慣れてないだけで。実際は気持ちいいんだなって。

この感覚も、もしかしたら小さい頃から慣れていれば変わるのかもしれない。
フィンランド人も小さい頃から高温のサウナ入っていたら、意外と高温のサウナが好きになっちゃう可能性もあるし。
俺たちも小さい頃から70度ぐらいのサウナ室でロウリュして、蒸気が降りてくる感覚を経験していれば、それが当たり前になっていたのかも。
うちの息子のケイトはさ、2歳からロウリュできるサウナしか入ってなかったでしょ。テントサウナとか。だから5歳ぐらいのとき、本当のカラカラのドライサウナに連れて行ったらさ、「パパ、これ偽物じゃん」って。そう言ったことに尽きるなと思って。
だから、日本人だからとか、フィンランド人だからじゃなくて。
日本人は、成長してくる過程の中での体験がずっとドライサウナしかなかったわけだから、まだ感覚をつかめていないだけというか。

今の若い子たち、小学生とか中学生もサウナ入りだしてるじゃん? テントサウナも身近になったし。そうやってロウリュするサウナが当たり前になっていくと、大人になった頃には、その感覚が当たり前になっちゃうんじゃないかな。

親方:きっと、日本中の家にサウナがついていったら、また文化は変わるよね。
サウナが家に入っていったとき、ロウリュの本質がわかるようになるというか。
毎日お風呂に入るようにサウナに入るようになったら、こんなアツアツじゃなくていいなって。

師匠:家のサウナだと、部屋も狭くなるしね。あと、人に邪魔されないでしょ。
それで、毎日入るから感覚的にわかってくると思うんだよね。
毎日パブリックの違うとこ行っていると、物が違うからわかんないと思うんだけど。家だったら、毎日同じ便器に座るみたいなもんだから、便器の違いがすぐにわかるようになる。「いつもの便器と違うぞ!」ってなるよね。「ウォシュレットが強すぎるぞ」とかさ。
毎日の歯磨きみたいになってくるから。歯ブラシの質感、歯磨き粉の味の違いがわかるのと一緒で。
毎日同じ大きさのスペースで、毎日同じようにやっていれば、きっと温度や湿度の違いも意識できるようになる。ロウリュってこういうことなのかっていうこともわかるだろうし、水をかけるタイミングもつかめてくる。
本当に理解しはじめるような気がするね。

親方:フィンランドでは、ホテルでも2〜3人くらいで入るサウナが多いよね。それで、サマーコテージ(別荘)とかには、4人くらい入れるサウナがあったりして。
ああいう感じでさ、自分の家にサウナがあることを想像すると、面白くてさ。
例えば、友達が3人遊びに来て、「じゃあ、うち泊まってけよ」みたいな感じになった時に、「サウナに入るか」って、水着でも着て一緒に入るわけ。
そういうのが、フィンランドだと結構あるじゃない?
一緒にサウナに入って、ビール飲みながら、バスタオル巻いて、わあわあ言って。
「ちょっと体冷えてきたな」とか言って、またサウナ入るやつとかいたりしてね。
やっぱり相当楽しい体験だよな、と思う。
そういうのが、ここ5年くらいで日本に浸透してくると思うんだよね。

師匠:海外に親方と一緒に行くとさ、フィンランド人とかも一緒に泊まったりするじゃん。
朝はみんなさ、寝起きで頭ボサボサの状態で、サウナ室で顔合わせて、「おはよう」って言うじゃん。入ろうと思ったらもう誰か入ってる、みたいな。あの感じめっちゃいいよね。
あれ、日本のお風呂だったら少し変だもんね。「おはよう」って俺が入っていったら、相手もびっくりするよね。「え? 入ってくるんだ?」みたいな(笑)。
サウナはそれができるんだよね。「昨日遅かったの?」とか「すぐ寝れた?」とかそんな会話をしながら。
それが日常だよね、フィンランドとか行くとね。

親方:だから家にサウナがつきはじめたら、日本のライフスタイルが一気に変わるよな。
お父さんと娘だって、サウナなら一緒に入れるからな。
「最近、学校どうだ?」「水風呂入ってこい、先」とか言ってさ。
「あ〜さっぱりした」とか言いながら、サウナ上がりにこたつ囲んで、牡蠣食べるとか。
なんか、そういうのがいいな。

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