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INTERVIEW インタビュー

2025.07.22

日本初の“サウナ3点フルコンボ”が生まれた場所──
「瀬戸内温泉たまの湯(岡山)」の挑戦

眞田祐作 × 宮原一郎 × サウナ師匠

岡山・玉野にある「瀬戸内温泉たまの湯」が、サウナシーンに新たな風を吹き込もうとしています。 世界的サウナブランドHARVIA(ハルビア)のヒーター、フィンランドの照明メーカーCariitti(カリッティ)、そしてエストニア発の木材メーカーThermory(サーモリー)。この3ブランドが揃った“サウナ3点フルコンボ”の設計は、たまの湯が日本初! プロサウナー・サウナ師匠が、たまの湯オーナー宮原一郎さん、企画・設計を手がけた眞田祐作さんとともに、その誕生秘話と未来への展望を語り合います。

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眞田祐作
(真田電気設備株式会社 代表取締役社長)

岡山市を拠点に建設業を主軸とした電気設備、空調設備、建築、電気保安管理、不動産賃貸事業及び香川県の直島で宿泊施設「SANA MANE」にてサウナ「SAZAE」を2022年より展開。 令和5年HARVIA代理店を開始。サウナの発展に伴い、生活にゆとりや潤い、生きがいなど精神的な充足感をもたらすようにサウナの普及活動を行なっている。

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宮原一郎
(「瀬戸内温泉たまの湯」オーナー)
※宇野港土地株式会社 代表取締役

岡山県玉野市宇野を拠点に自社不動産の活用を主軸とした不動産賃貸事業及び各サービス事業を展開。平成25年、玉野市中心市街地活性化基本計画のもと日帰り温泉施設「瀬戸内温泉たまの湯」を開業。旅行・観光でこの地に訪れる方々へのおもてなしに着目し、観光事業に積極的に取り組んでいる。

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サウナ師匠/秋山大輔
(TTNE株式会社)

イベントを軸としたブランディング会社を経営しながら、世界を舞台に活動するプロサウナー。日本最大級のサウナイベントやアワード、革新的サウナ空間のプロデュースを手がけ、2025年大阪・関西万博では主催者催事 万博サウナ「太陽のつぼみ」の総合プロデューサーを務める。世界No.1サウナブランド「HARVIA」からグローバルアンバサダーに任命され、日本のサウナカルチャーを未来へと導くキーパーソンとして国内外で注目を集める。日本発の感性と世界水準の視座を掛け合わせ、世界とつながる次世代サウナ文化を創出している。

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師匠:本日は、リニューアルオープンされた岡山・玉野の「瀬戸内温泉たまの湯」にお邪魔しています。 今回お話をお伺いするのは、今回のリニューアルに際して企画・設計を担当された眞田さん、たまの湯のオーナーでいらっしゃる宮原さんです。お二人とも、この度は、リニューアルオープンおめでとうございます!

眞田・宮原:ありがとうございます。

師匠:まず眞田さんと言えば、アートの聖地・直島で隈研吾事務所とコラボレーションしたサウナ「SANA MANE/SAZAE」のオーナーなのですが、今回は岡山初のサウナ専門ショールーム「HARVIA サウナディーラー岡山」をオープンした真田電気設備株式会社の眞田さんとして、ここ「たまの湯」のサウナを企画・設計を担当したんですよね。 今回のプロジェクトのきっかけは何だったんですか?

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眞田: 宮原さんとのサウナ文脈の繋がりの話で言うと、最初は、瀬戸内海に浮かぶ小さな無人島「KUJIRA-JIMA」ですね。宮原さんの会社(宇野港土地株式会社)で運営しているグランピング施設なんですが、そちらでバレルサウナを導入していただいたんですよ。それが最初の接点ですね。

宮原:そのとき、バレルサウナを眞田くんにお願いして。
しばらくしたら、今度はたまの湯の方のヒーターが傷んできて。「そろそろ買い替えようか」と思ってた時期に、「値段上がるかもしれないんで、今のうちに買っておいたほうがいいですよ」って眞田くんからアドバイスをもらって。それで、ヒーターだけ先に買っていたんです。
でもそこから半年ぐらい経って、「やっぱりこのままじゃダメだな」と。
ヒーターだけじゃなくて、「もうガワごとやってもらおう」っていう話になって。

眞田:「せっかくだから、全部やっちゃおう」っていう感じになったんですよね。

師匠:その前から眞田さんと宮原さんはお知り合いだったんですか?

宮原:そうですね。そもそも最初の頃は、僕は全然、サウナは好きじゃなかったんです。我慢して入る場所だと思ってたんで……我慢とか大嫌いなので(笑)。
ところが、眞田くんが「俺はプロサウナーだ」とか言い出して(笑)。
「何言ってんだ?」と思ったんですけど(笑)、いろいろなサウナに連れて行ってくれたんですよね。

眞田:岡山の「桃太郎温泉 一湯館」とか、杜の街グレースの「RR Conditioning & SPA」とか。RRのサウナはサウナ師匠プロデュースですね。

宮原:正しいサウナの入り方っていうのを一通り体験させてもらって、「あ、これ気持ちいいな」って。それから完全に、サウナのことに関しては眞田くんに任せる感じになりました。

師匠:なるほど。そこから、眞田さんがたまの湯を丸ごとプロデュースしていく形になったわけですね。

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師匠:実際に今回、サウナ室に入ってまず驚いたのが、座面の流線型のデザインでした。
一見、海外のサウナを思わせる、あの雰囲気。海外の素材や商品が使われていることもあるかとは思うのですが、デザイン自体もすごくアーティスティックで。見る人が見ればすぐわかるというか、サウナ好きの人たちは、すごく海外の空気感を感じる部屋になっていると思うんですよね。あちらは、どういう意図での設計だったんでしょうか?

眞田: あのカーブは、座る位置に関係なく、HARVIAのサウナヒーターからの熱をしっかり感じられるように設計しています。流線型の座面を最大限に活かして、ヒーターを中心に、全方位で熱を身近に感じられるようにしたんです。

師匠:デザインも、本当に美しいんですよね。あれ、最初は直線にするって話もあったって聞きました。

眞田:そうなんです。でも宮原さんが「いや、あの曲線のままがいいんじゃないか」って言ってくれて。

宮原:やっぱりうちは海が近いんで。波みたいなイメージ、そういう柔らかさが欲しかったんです。

眞田:「真っ直ぐじゃつまんないでしょ」って(笑)。

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宮原:お客さんからの評判も、上々ですね。 今年開催される瀬戸内国際芸術祭などで多くいらっしゃるお客さんにも、立ち寄っていただきやすい立地で、アート性を感じていただける、かつ僕も好きな海や水辺を彷彿とさせるデザイン、っていうのはいいですよね。

眞田: 水の音や水の動き、というのをテーマにしているので、実はサウナの中に流れる音もデザインしていて。2時間くらいでワンループの「水をテーマにした音」も作り上げて、組み込んでいます。

師匠:ヒーターガードのデザインも印象的でした! 世界中を周っていろいろなサウナを見てきましたけど、多分世界で一番デカイんじゃないですか? 普通、サウナを作る上では、いかに多く座面を取るかに意識が行ってしまうのに、そうではなくしたことで、また新たなデザイン性と、強烈なインパクトを生み出してますよね。

宮原:「海の波のイメージ」みたいなことを眞田くんに伝えられて、「プロサウナーがいいと思うデザインなら、それで行こう」ってなりました。
うまくやられましたよね。(笑)

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師匠:座面の下に仕込まれてる照明も印象的でした。まるで間接照明のような柔らかさで。

眞田: あれはフィンランドの「Cariitti(カリッティ)」というサウナ&スパの照明ブランドのウルトラアンビエントLEDというものです。
Cariittiは、「照明とは光の量だけではなく、ムードを作るもの」というモットーに基づいて、ガラスファイバー照明やリニアLEDを始めとする独自の技術力で、サウナ&スパ照明のトレンドをリードしているメーカーで。
従来のLEDと違って両端にしか光源がないので、輝度ムラがなくて、目にも優しい光になります。実はこれ、メンテナンス性も高くて。交換の際も、問題の生じている光源一カ所を交換するだけで済むので、コストパフォーマンスにも優れているんですよ。

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師匠: 日本のサウナって、照明が明るすぎて落ち着かないってことありますよね。おじさんの汗まで全部見えちゃう(笑)。
けれど、Cariittiの照明だと、ピンポイントで必要なところだけ照らすようなこともできるし、自分に集中できたり、他人に関する雑念が消えたりすると言う点でも、すごくいいですよね。

眞田: Cariittiの照明は、明るすぎず暗すぎず、光の演出が絶妙なんですよ。
しかも、高温に耐えられるガラスファイバーを使った照明システムになっていて、電源装置・光源ボックス(LED)はサウナ室の外に設置されるので、熱の影響を受けないんです。
だから、照明自体を180℃以上の高温になるヒーター直上に設置しても大丈夫。そうした強みがあるからこそ、ロウリュの水蒸気に印象的な光の演出を加えることもできるんです。ヒーター直上やサウナ室天井部分にも使用できるって、サウナの照明の世界で言うと本当に革新的なことなんですよね。
だからこそ、これまでにない様々な照明デザインが可能になっていくと思っています。

師匠: 20分に1回のオートロウリュも、この照明演出と相まって、本当に幻想的でした。

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眞田:ありがとうございます。 ヒーター下にブロワーが仕込んであって、水滴から立ち昇る水蒸気を空間全体に撹拌する設計にしているんです。

眞田:なるほど。それで、演出に見惚れているうちに、一気に発汗が促されるわけですね!

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師匠:室内に使われている木材もいいですよね。木の香りもいいし、艶やかで高級感がありま す。これも、とても印象的でした。

眞田: 木材にはエストニアの「Thermory(サーモリー)」のサーモウッドを使用しています。
Thermoryは、サーモ処理木材とサウナ用建材の世界最大のメーカーで、ここの製品は、化学薬品を一切使用せず、熱と水だけで耐久性を高めた自然素材なんです。
天然の木材100%なので、やはり、合成木材等には出せない美しさがありますよね。香りや質感 も非常に高い。

師匠: 見た目の良さだけではなく、クオリティーもすごく良さそうですよね。
しっかり暑いサウナ室なのに、ベンチ、全然熱くなってないですもんね。

眞田: ヨーロピアンアスペンという節のない樹種を、サーモ処理しています。遮熱性が高く、樹脂も出ない。それによって、熱くなりすぎない仕組みになっているんです。
理想的なサウナ用建材ですよね。
加工もしやすくて、大工さんからも好評でした。

師匠: なるほど。しかも湿気に強く、変形もしづらいとか。

眞田: そうなんです。寸法の安定性も高いですし、平衡含水率が半減することにより、木材自体の吸湿性も抑えられているので、長く快適に使える素材です。従来の木材よりも、耐久性、耐腐朽性も大幅に向上しています。

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師匠: 実は、HARVIAのヒーターと、Cariittiの照明、Thermoryの木材をフルコンボで導入した事例は、こちらのたまの湯さんが初めて。日本初の組み合わせなんですよね。

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宮原: うちがですか!? そんなすごいことだったんですか……!

眞田: 初めてなんですよ、実は(笑)。フィンランドでは一般的でも、日本ではこれが第一号。

師匠: 資材の納品や導入も大変だったのでは?

眞田: いえ、かなりスムーズでした。むしろ優先して対応してもらって。ただ……うちが使いすぎて、在庫がほぼ空になっちゃって(笑)。「どこで見られるの?」って聞かれたら「まずはたまの湯に行ってください」と(笑)。

師匠: ファーストコンテナがほぼフルで入っている状態。今後使いたいと思っている方も、まずはここにロケハンに来たら、かなり参考になりそうですね!

師匠: 今後の可能性としては、どうですか? ヒーター、照明、木材、それぞれにこだわりを持ったこうしたサウナが全国に広がっていく未来について、眞田さんはどう考えていますか?

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眞田: 全国にこうしたサウナが広がっていく可能性、十分あると思います。ヒーター、照明、木材、すべて単体で選べることで、施設の個性が出しやすくなった。これから、ますます多様なサウナが増えていくんじゃないでしょうか。

師匠: HARVIAが単体ヒーターを日本で買えるようにしてくれたことで、まず“遊べる”ようになった。
さらに照明や木材が自由に選べる今、サウナ空間の表現が一気に広がっていく。今後の業界の動きが楽しみですね。
そうしたサウナ業界の未来のためにも、まずはぜひ、みなさんに、たまの湯にいらしていただいて。この良さを体験していただいて、自分がどうアレンジするかを、探ってほしいなと思いますよね。サウナを作りたい人からすると、選択肢がめちゃくちゃ増えましたよね。

宮原: これをきっかけに、ぜひ多くのお客さんにいらしていただけたら嬉しいですね。岡山も瀬戸内も、素晴らしいところなんで。

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師匠: 今年は瀬戸内芸術祭もありますしね。サウナをきっかけに、瀬戸芸も含めて、サウナツーリズムみたいにして。

宮原: 岡山は釣りもできるし、ヨットのチャーターもできるし、ホテルやグランピングもあるし。たとえば釣った魚をうちの温泉に預けて、サウナでととのったあとに、自分の釣った魚料理で宴会!とか、そんな体験もできちゃいます。

師匠: 最高じゃないですか!

眞田: まずは、たまの湯でこの“世界基準のサウナ”を体験してほしいですね。 それが全国に広がっていったら、サウナマーケットはもっと面白くなると思います。

師匠: 眞田さん、宮原さん、今日は興味深いお話、ありがとうございました!